付録¶
このセクションでは、確定拠出年金の分析に関連する補足情報や参考資料を提供します。
用語集¶
投資・ポートフォリオ関連¶
現代ポートフォリオ理論(MPT): ハリー・マーコウィッツが1952年に提唱した理論で、リスクとリターンの関係から最適なポートフォリオを構築する数学的フレームワーク。
効率的フロンティア: 特定のリスクレベルで最大のリターンを提供するポートフォリオの集合を表すグラフ上の曲線。
シャープレシオ: リスクフリーレートを上回るリターンをリスクで割った値。リスク調整後のパフォーマンス指標として広く使用される。
ボラティリティ: 資産価格の変動性を示す指標。通常は標準偏差で測定される。
ベータ: 市場全体の動きに対する個別資産の感応度を示す指標。
アルファ: 市場の動きから予測されるリターンを超える超過リターン。
分散投資: リスク低減のために複数の異なる資産に投資すること。
リバランス: ポートフォリオの資産配分を目標とする割合に戻す行為。
確定拠出年金(DC)関連¶
確定拠出年金(DC): 拠出された掛金とその運用実績に基づいて給付額が決まる年金制度。
企業型DC: 企業が導入する確定拠出年金制度。
個人型DC(iDeCo): 個人が任意で加入できる確定拠出年金制度。
マッチング拠出: 従業員が自身の給与から掛金を上乗せする制度。
運用指図: 加入者自身が運用商品を選択する行為。
運用商品: DCで選択できる金融商品(投資信託、定期預金など)。
元本確保型商品: 元本割れのリスクがない商品(定期預金、保険商品など)。
信託報酬: 投資信託の運用管理に対して支払う手数料。
よくある質問(FAQ)¶
投資戦略について¶
Q: 最小リスクポートフォリオと最大シャープレシオポートフォリオ、どちらを選ぶべきですか?
A: これは個人のリスク許容度と投資期間によって異なります。長期投資で中程度のリスクを受け入れられる方には最大シャープレシオポートフォリオが、短期間で資産を守りたい方や保守的な投資家には最小リスクポートフォリオが適しています。
Q: 効率的フロンティア上のどの点を選ぶべきですか?
A: 自分のリスク許容度に合った点を選ぶことが重要です。一般的には「100 - 年齢」の数値を株式の配分比率(%)とする方法がありますが、個人の状況や目標によって調整すべきです。
Q: リバランスはどのくらいの頻度で行うべきですか?
A: 一般的には年1回程度が推奨されますが、資産配分が目標から5%以上乖離した場合にリバランスする「閾値リバランス」も効果的です。ただし、頻繁なリバランスは取引コストを増加させる可能性があります。
確定拠出年金(DC)について¶
Q: 運用商品は途中で変更できますか?
A: はい、スイッチング(預け替え)により運用商品を変更できます。多くのDC制度では、オンラインで簡単に変更手続きができます。
Q: DCの資産は、いつでも引き出せますか?
A: いいえ、原則として60歳まで引き出すことはできません。ただし、高度障害や死亡、海外移住などの特別な場合は例外があります。
Q: ポートフォリオ理論は本当に機能するのですか?
A: 長期的には機能すると考えられていますが、短期的な市場の非効率性や予測できない事象により、理論どおりにならないこともあります。また、理論の前提条件(正規分布に従うリターンなど)が現実と完全に一致しない点に注意が必要です。
参考資料とリンク¶
書籍¶
マーコウィッツ, H. (1959) “Portfolio Selection: Efficient Diversification of Investments”
バーンスタイン, W. (2001) “資産配分の四つの柱”
マルキール, B. (1973) “ウォール街のランダム・ウォーカー”
ウェブサイト¶
学術論文¶
Markowitz, H. (1952). “Portfolio Selection”. The Journal of Finance.
Sharpe, W. F. (1964). “Capital Asset Prices: A Theory of Market Equilibrium under Conditions of Risk”. The Journal of Finance.
Fama, E. F., & French, K. R. (1992). “The Cross-Section of Expected Stock Returns”. The Journal of Finance.
データソース¶
本分析で使用したデータは以下のソースから収集しました:
各運用機関の公式ウェブサイト
金融データプロバイダー
公開されている基準価額履歴データ
なお、データの正確性を確保するために複数の情報源を使用し、クロスチェックを行っていますが、完全性を保証するものではありません。